このたび、東京藝術大学COI GREY ROOM 」プロジェクトでは、2020年2月22日(土)から3月1日(日)まで根津のギャラリーマルヒで企画展を開催いたします。

GREY ROOMについて

新しい情報技術は絶え間なく、忙しなく、私たちの生活に浸透し、いつの間にか日常の風景を変えていきます。目まぐるしく過ぎていく日常のなかで、しかし、いつしか私たちは翳に目を凝らす時間を失っていないでしょうか。明瞭な光源を離れて、輪郭の定かでない暗がりに潜む、曖昧な表情を読み解く術を、現代は見失いつつあると言えるかもしれません。

本展「GREY ROOM」は、光量をおさえた日本家屋の空間を舞台に、映像・メディア作品、身体表現、インスタレーション、あるいは過去の映像技術や投影装置、光源の再解釈によって、日常とは異なったイメージと知覚の可能性を探求する試みです。「陰影礼讃」と「虚実皮膜論」を手がかりに、日本家屋を陰翳の階調を生み出すテクノロジーの集積ととらえ、光と影が不透明に混ざりあう境界、虚実の皮膜にあらわれては消える知覚経験の揺らぎを対象化します。

近年の急激なメディア技術の変化は、それまでの事実性や現実感をゆるがし、情動や知覚の変容をもたらしたと論じられてきました。本展では明瞭な光の空間(ホワイトキューブ)でも、明確な像を描くための装置(カメラオブスキュラ)でもなく、不透明な陰翳にみちた空間から、私たちの身体感覚と知覚経験、虚と実、光と影、そしてアートと テクノロジーの階調を再考します。

IMAGES

PROFILES

桒原 寿行 / Toshiyuki Kuwabara

知覚やテクノロジーの領域を注視しながら、絵画/写真/映像/CGI/生体現象/エンジニアリング/メディア技術/などを用いて表現活動を続けている。第16回 岡本太郎現代芸術賞 特別賞受賞。主な展示会に第16回 岡本太郎現代芸術賞展(岡本太郎美術館)、岐阜 おおがきビエンナーレ2013、 ヨコハマトリエンナーレ連携企画 “東アジアの夢”(BankART NYK Studio)、”幻燈展 --プロジェクションメディアの考古学”(早稲田大学演劇博物館)などがある。東京藝術大学COI特任講師。

深澤 南土実 / Natsumi Fukasawa

Ph.D.in Dance Studies。舞踊学、舞踊史、身体表現、パフォーミングアーツ。著書『バレエ・デ・シャンゼリゼ––第二次世界大戦後フランス・バレエの出発』(法政大学出版局)が2020年2月刊行予定。幼少期にクラシックバレエ、その後コンテンポラリーダンスに出会い、平松み紀、エマニュエル・ユイン、太田ゆかり等の振付作品に出演。研究活動と並行し、身体性を大切にして幅広く舞踊活動を行う。東京藝術大学COI特任研究員。

大久保 遼 / Ryo Okubo

メディア論・社会学・映像文化史。映像技術やメディアの歴史からデジタル化以降の文化状況を捉え直すメディア考古学的研究を進めている。著書に『映像のアルケオロジー:視覚理論・光学メディア・映像文化』(青弓社)、共編著に『スクリーン・スタディーズ:デジタル時代の映像/メディア経験』(東京大学出版会)、『幻燈スライドの博物誌:プロジェクション・メディアの考古学』(青弓社)がある。明治学院大学准教授、COI若手ファンド研究協力者。

GREY ROOM

期間:2020.2.22(土)~ 2020.3.1(日)
11:00〜17:00
会場:終了しました
入場:無料
パフォーマンス:最終日3月1日15時〜
お問い合わせ:contact@greyroom.info
東京藝術大学COI 「 GREY ROOM 」プロジェクト